母なる大地に毒を撒くのか?

最近とても気になることがあります。それは除草剤の使用です。

 

2004年に高島でmidori-yaを開業して以来、私たちは自ら食する野菜を作るために無農薬かつ有機肥料を使ってなるべく自然農に近い形で農園を自ら運営してきました。

その頃から高島で使われている農薬や除草剤について大変残念な想いや危険な感じを持っていました。

2008年に自らの敷地内にJAの農薬散布ラジコンヘリコプターが墜落したという事故もあり、ますますその想いを強くしました。

 

しばらくそれから和歌山の熊野でいろいろな取り組みを行ってこちらへ帰って来て再び安曇川町でmidori-yaを目下経営しておりますが、オーガニックとか自然農とか身体にやさしい農業とかが盛んに言われて進んできたように世間では言われていますがむしろ状況は全く逆のように思われます。

私が感じている印象ではこの高島市で使われているいわゆる農薬ないし除草剤の量は以前よりもむしろ増えているように思えてなりません。

とりわけ除草剤については以前はあまり使っていなかったようなところでも頻繁に使われていたり、以前は高齢者だけが使っていたような気もしますが、最近ではいわゆる中核世代の40代・50代のまだまだ元気で草刈りができそうな男性までが大変頻繁に除草剤を使っているのを特に安曇川のデルタ地帯では見かけます。

除草剤が非常に一般化してきたということです。ホームセンターでも特別な売り場を作って以前よりも大量に除草剤を売り出し結構順調な売れ行きをしているように思えます。

とても心配な由々しきことです。

 

また最近ではハイポネックスの殺虫剤入り商品や住友化学園芸から出ている「育てる・守る」のように苗を丈夫に育てるといった触れ込みで化成肥料と殺虫剤を複合したようなものも大変一般的に普及して売り出されるようになっています。

そして特に感じるのが一般の人たちがこういったものに以前よりも抵抗感がなくなってきているということです。それをとりわけ強く感じます。

 

除草剤は言ってみたら生き物の上に毒を浴びせて腐らせているということです。

人間と植物はおのずと違うとは思いますが生体の組織を破壊してしまうような毒物を自らが食べる作物を作っているところや自らが住んでいるところの近くにどんどんと撒いていくということを平気で行えるというのはどういった心境かというのはとても疑問に思います。

「草は生やせない」「きれいにしておかないと」と言いますが除草剤を撒いて赤枯れしている状態が果たしてきれいなのか、それと普通にある程度青々と雑草が茂っているのとどちらがきれいなのか、私はあきらかに後者の方が美しいときれいだと思います。

前者はとても不快です。

 

除草剤については元をたどればいわゆる「枯葉剤」です。ベトナム戦争での恐ろしい枯葉剤の惨禍は「母は枯葉剤を浴びた」などの本を見ればよくわかることです。

我々日本人が特に頭にとめておかないといけないのは、このベトナム戦争で使われた恐ろしい枯葉剤というのはもともとベトナム戦争のために作りだされたのではないということです。これはもともと我々日本人のとりわけ西日本の稲作地帯(つまりこの高島や近畿も含まれます。)に、あの原爆が落とされた年の初夏から夏の耕作期にかけて広範囲に散布し日本の農産物やコメ作りに大きなダメージを与えて戦意を喪失させよう、窮地に追い込もうというアメリカの戦略から作られたものなのです。

しかし諸般の事情があってこれが原爆に取って代わられました。それが日の目を見たのがベトナム戦争だったのです。なんと恐ろしいことでしょう。(それは単にB29からは散布しにくかったという戦術技術的な問題だけで中止になったのだと先日ベトナムからいらした経済学者の方から教えていただきました。再び背筋が寒くなりました。)むろんベトナムで使用された枯葉剤と今日日本で使用されている除草剤が全く同質のものでないのは当たり前のことです。しかしながらいわゆる「ルーツ」とは抗えないものです。植物の生態を破壊し死滅させる毒物であるという「素性」はなんら変わりありません。

 

近年ヨーロッパ各国ではこのモンサントを中心としたアメリカの開発した除草剤といったものが危険であるという認識が高まってほとんど使われなくなったり売ることが困難になったりしています。

そのためだぶついて困ったものをここぞとばかりに日本に売りつけて大量に消費させようということでアメリカの経済界から圧力をかけられて唯々諾々と売っているのが日本の経済界なのです。

 

しっかりと我々は未来に向けて安全な国土と健やかな子孫を残すためにこのことを考えて取り組んでいかければなりません。

健康を害している方や体力のない方、そして諸般の事情でどうしても草刈ができないという方にとってはどうしても最小限不可欠な場合もあるでしょう。

しかしあくまで除草剤というものはどうしても仕方ない時に補充的に使うものだという考えだけは少なくとも持たねばなりません。

基本的に草は刈るものです。毒を大地に撒くものではありません。

2週間たてばすべて分解して微生物の餌になるとモンサントのビデオは言っていますが必ず全部分解されるという保証がどこにあるのでしょうか?また仮に分解されて別の物質になったとしもその物質自体がすべて安全であるという確証などどこにもありません。また散布されたり土中に存在している他の物質や化成肥料などと化合してさらに恐ろしいものにならないという保証はどこにもありません。

その組み合わせは何百通り何千通り何万通りと考えられると思います。

こういったものすべて検証した上で安全だと言っているのでしょうか?

そのような保証があるとは思えないのです。

それならばどんなことをしても何としても少なくとも私たちは未来の子孫を守るために草というものは自分の手で刈るないし物理的に除去する方法をとって除草剤というものは極めて忌避すべき忌むべきものであるという認識をまず持たねばなりません。

 

とても気になるこの春です。