日本人の無責任

 

日本の民主主義の現状は

「民主主義を実現したが民主主義でよい政治を実現できたか極めて疑問」

ということを少し述べてみましたがなぜそのような状況にいたったのか。いろいろな原因はあると思います。

 

最近特に感じるのは日本人はそのような状況を積極的に望んでいたとまでは言わなくても「まあいいか」と自ら招いてきたのではないかということです。

よく昔から言われることですが「政というのはお上がするものだ。」「大事なことは偉い人が決めてくれるものだ」ということをよく日本人は言います。

 

大化の改新以来、日本の国では幾度となく政変がありましたが大半はいわゆるクーデターであっていわゆる革命が起こったことは一度もありません。明治維新とてそうです。

そういう意味で月並みな言い方ですが市民的な自覚を持った個人というものが日本ではまだ一度も誕生していないのではないかなと思うわけです。

 

この近代化された世の中で何を言うとおっしゃるかもしれませんが本当の意味で自らが政治の担当者ないし主権者としての自覚を持っていろいろなことを考えて発言していく責任がある、時には行動する責任があるし発言したり行動しなければそれはとても無責任なことだ、義務を果たしていないことだと考えている個人が日本にどれだけいるかというと危ういことだと思います。

 

市民的自立、個人としての覚醒というものが日本で成されたということはまだ一度もないのではないかなと思わざるを得ないのです。

 

入管法や水道法の問題でも考えてみればとても困ったことになるのじゃないか

外国人労働者ばかり増えて日本の労働者がますます圧迫されるのではないかとか

生活に大事な水というものが外国企業に握られたらどうなるのかなとか

少し考えてみればわかることですがそういったことについて積極的に発言したりまたそういった立法に反対するとあの人は反政府的だと思われたらこまるとか何か反対するとあの人は共産党だ(特に田舎では)というような傾向があり物言えば唇寂しといった風潮が多かれ少なかれ日本中で都会でも特に近頃は蔓延しているのかもしれません。

 

この安倍政権になってから特にそうなったのではなくてそもそも日本人は生来そういった根性を持っている弱い民族なのだと私自身は思います。

忍従・隷従は結構平気でご奉公や忠誠は得意であるけれども自分自身が主人公となってどうしても駄目な為政者は倒す・逆転するといったことは一度もやったことがない民族です。

 

いわゆる学生運動というものが過去にありましたが市民と学生が一緒になって本当の意味で政権を追い詰めるような事態というのは一度もなかったと思います。

カルチェラタン光州事件天安門事件(この3つ自体が何の意味か全くわからない若者も多いでしょうが)のような状況というのは日本では一度もなかったと思います。

 

パトカーがひっくり返されて燃やされているというのは外国でよくあることです。しかし日本では一度もありません。フランスでもイエローベスト運動が旋風を巻き起こしておりますがそのようなことが起こった場合に諸外国ではそれを困ったものだなと思っていても一種台風や災害のように時には起こってしまうもの、政治を浄化したり大きく正していくためには時にはやむを得ぬもの、として民衆もそれを受け入れている傾向があるように思います。

日本でもし同じようなことをやって放火とか車を壊すとか店を壊すようなことがあればそれは「過激派」だということで市民自体がそういった運動やムーブメントをした人を全員犯罪者として敵視するような傾向が恐らく間違いなく存在するのだと思います。

為政者もそのことをわかっていますから高を括って安心しているのでしょう。

 

日本人は国政というものを時の権力者に委ねている代わりにそれは為政者が決めたこととして、「偉い人が決めはったことだから自分には責任ない」という言って見れば責任逃れに馴染んできたのでしょう。

それによって少々間違った方向へ行ったりつらい思いをさせられたり忍従させられることがあってもむしろ自分が責任をとらなくていい方がいいと、そういった腹をくくって自らが発言しないことを旨としているような民族なのかもしれません。

私はそういう日本人がとても嫌です。そういう風に思うと自分自身が日本人であることもとても息苦しくなってきます。

 

最近若い世代を中心にとても温和な形での社会変革を目指す動きが私の近くにもあります。

昔のように突っ走る形ではないのでしょうがしかし一人ひとりは強い意志を持っているように感じます。これからそういった動きがどんな方向へ行くのか私も興味深いですし、また期待しています。

伝統的な日本流の「無責任」に少しずつ風穴を開けていかなければならないと思います。

                  2018年12月