資本主義の末路

 


12月 26 日付の新聞紙上に「東証急落 2 万円割れ」という見出しが出ました。
米国発の世界同時株安連鎖で下落に歯止めがかからないと。
「ああ、また来たか。」というイメージを持たれたかもしれません。
最近何度も株価の大幅下落はありましたが、今回特に私は
「ああ、これはいよいよだな。」と思いました。
それは例のリーマンショック等々の具体的な引き金になるような事象がないにも関わらず、新聞でも論じられているように
「一般的な世界経済の成長鈍化を警戒する売りが広がったということ」
「弱気相場に入ったということ」
「悲観的な見方が優勢になったということ」
その基調にはいわゆる米中の対立による緊張ということがあるのかもしれませんが先行きの懸念いわゆる経済そのものに対するマイナス評価というものから大きな下落が始まったということです。
いよいよ世界的に自由主義経済・資本主義経済といったものが末期に入ったということの大きな証明です。
大変大きなクリスマスプレゼントだったわけです。

 

我々は一日も早く新しい長く継続していける秩序に達さなければなりません。継続可能な社会・エネルギーなどという言葉がありますが、そういう表面的なエコの問題ではなくて経済そのものの在り方を根本的に見直さなければならない時代に来ていると素人ながら感じるのです。
「いつか景気は良くなる筈だ」「景気は循環するものだ」というのがいわゆる当世の経済学者の論法かもしれませんが、そういった楽観的な見方にいつまでもすがっていても仕方ありません。

思い出すのは昭和天皇が病床につかれてその病状を毎日毎日日本国民が一喜一憂して窺っていた時のことです。「今日は陛下は若干の下血があって血圧が下がられた。」しかしまた次の日「若干回復されて血圧が上がられた。」「またちょっと血糖値が下がられて危険な状態になられた。」とか、しかしやがてはご崩御されたのであります。(と謹んで?ご報道申し上げます!)

今の経済もそういったものでほんのちょっと「上がった」「下がった」で一喜一憂していても「もうこれは駄目だ。」という根本的な見切りというのをつけないといけない時期に来ていると思います。
人間なら死んでしまえばお終いですが、新しい経済を作り替えることは自らの勇気と意志でできるのです。まさにそれに挑戦しなければならない時であります。
世界中が。そしてこの日本も。
具体的にどうすればいいのか。
いろいろ難しい問題もあるし、一般の人間が考えても仕方ないという人がいるかもしれませんが、やはり一人一人が自分の周りを冷静な目で見て、
「どうあって欲しいのか。」自分の意見・願いをしっかり持つこと、そしてそれを表明することがまず大事であろうと思います。
「偉い先生が言ってるから」
「経済学者がこう言ってるからこうらしい。」
「だからこうしか仕方ないらしい。」
そんなことを言っては何も新しい未来・希望のある未来はやって来ません。
みんな、こうして欲しいなら「こうして欲しい。」「こういうのはどうだろう。」
声を出すことです。
そしてその声を束ねていくことです。
その中で新しい考え方や正しい考え方がやがて出て来るものです。
それを専門家が具体的な政策にしていってくれればいいのです。
我々一人一人がそういった姿勢を持って来なかったことがこの国の政治も経済もこういう状態にしてしまった大きな原因であろうと思います。
では具体的にどうすればよいのか?
今のいわゆる自由主義経済・資本主義経済というものは安価な労働力に支えられているというのは間違いないことです。
かつてから言われてきたように「機械は利益を生まない。」その通りです。
「利益を生むのは人間だ。」その通りなのです。
人間がどうやって利益を生むか?
労働力というものをいかにして利益が出るように調達するかというのがその大きなファクターであります。つまり安い労働力をいかに調達して、効率の良い労働をさせて製品を大量に安定して生産するかということなのです。
今、大きな一翼を担っているのがアジアの人たちです。
「後、十年や十五年はいわゆるプアーレイバーというものが期待できるから、その利ザヤで儲けられるから大丈夫だ。」といわゆる総研系の経済学者がいろいろなところで意見を出してきましたが、アジアでも日本よりも「労働者の覚醒」というものから賃金の底上げというものが今まで思っていたより早い時期にやって来ているようです。
プアーレイバーによる利ザヤというものもあまりこれからは期待できないのではないかなと危惧されています。むしろこれはあるべき姿として受け入れないといけないことなのでしょう。
断末魔にのたうつ野獣や妖怪のようにこの経済というものは何とか成長を確保しようとしても成長が確保できないので利益を出すために人間を食い始めていると思います。
つまりどんどん拡大生産して販売増加というのができなければいかにして生産コストを下げるかいかにして原料費を下げるかということが問題になりますが、インチキな材料や偽物を売るわけにもいかないわけです。となれば下げられるところと言えば労働力しかない訳です。
徹底的に利益を出して搾り取れるのははっきり言って労働力しかないのです。
これは普遍の真理です。
だからこそ「ブラック」であるとか、「過重労働」とかいったようなことがまかり通って来ている訳です。
「16時間労働」とか
「3 か月一度も休みなし」とか
「それでも残業代は0とか」
こんなバカなことがあるかということが段々とまかり通ってきている訳です。

更には、乳幼児や低年齢者のようなまだ健やかにただ健やかに育てればよいような人たちにも、早い内から
「こういうワクチンを打て。」
「こういう注射をしろ。」
といったことを次々とまことしやかな理由をつけて勧め出したりして、人間そのものを商売の対象にしていこうということが医療や保健と言った命に関わるような分野にまで染み渡ってしまって、人間を金儲けのネタにしようという悪質な手法がこの国では次々とまかり通っています。

また少し考えてみれば「有害だな」と思うようなものでも目先の利便性・小綺麗さとか、ちょっとしたストレス解消のようなものを商売文句にして次々と売りつけるような手法がまかり通っています。
ディスカウントスーパーやドラッグストアに行ってみたら「どうしてこれだけ大量の何十種類もあるようなシャンプーが必要なのか」と驚かされます。
エコカーと言うけれども二回や三回目の車検を経ることなく廃車にしている車がとても多いようです。
大型のバッテリーの処理は一体どうなっているのか。
エコカーと言いながら金儲けのネタにして実際は全くエコでない。
考えてみれば後先考えずに何とか目先の利益を確保しようということばかりで未来に大きな負の遺産を残すようなことばかりをこの国はやっているように思われます。
その根本にあるのはこの経済の在り方というものだと思います。
では一体どうすればいいのか?ということです。
基本的には
「やはりこれから少しでも消費と言うものを減らして小さく回っていく。」
この一言だと思います。
そして環境に負荷をかけることを少しでも少なくして人間として健やかに生きていける国に少しでも近づくようにこの国の在り方を変えていくことだと思います。
もう今の日本は成熟社会です。
それならばそれに見合ったような国になっていかなければならないのに、60 過ぎて、70 過ぎてからもう一回 20 代のような筋肉をつけようと筋トレをして怪我をしているアホな年寄りのような真似をしているのが今の日本です。
「1970 年代にできたのだからもう一度できるはずだ。」
アナクロニズムの極みというものです。
それがいわゆるアベノミクス政策だったと思います。
では一体どうすればいいのか?
一朝一夕に答えが出るようなことではないと思いますが、基本的にはやはり安定的な必要最低限の生産を行っていく、必要のないものは生産しない。ということを考えて一種の計画経済的な要素を取り入れていくことともう一つは貧富の差を解消するために大幅な所得の再分配政策をとることだと思います。
前者の方は言ってみれば長期的な経営というものを行政が大企業に対して抑制的な手法を推奨して指導し、むやみな拡大生産に対しては重税をかける等を行い、そして緊縮的な金融政策を取ればある程度実現していけることです。
後者の方についても一様に私有財産の撤廃などをしなくても累進課税制度をさらに推し進め、そして放置している山林とか長年放置している不動産といったものに対しては重税をかけるとか一定以上の耕地不活用があれば自動的に国庫に帰属するといったような法制をつくるなどいわゆる税制改革や土地政策を行っていくことです。
富めるものに対してさらに手厚いような現在の政策を改めて、富裕層に大幅な増税をしていく。更には株式売買や資産運用による利益といったようないわゆる不労所得・家賃収入といったものにたいして高率な税金をかけることによってそういった利得を現実的に行えないようにする。その富を低所得者や非財産層に対する大幅な減税や各種の福祉政策を充実させることによって実現可能だと思います。
「なんだ、それは共産主義のようなものじゃないか。おそろしい奴め。」
という声があるかもしれませんが、
何も「すべて企業を国有化し、私有財産をすべて撤廃し、皆同じような平均的な住宅に住め。立て替えて全て潰して。」
ということをしなくても現状のままで緊縮的な経済政策や拡大経営をすれば利益が国庫帰属してしまうような政策を企業に対して行い、税制制度を大胆に改革すれば現状の私有財産制度や企業制度を残したままでも社会主義的な国家を相当な度合いまで実現することは可能だと思います。
いわゆる社会主義共産主義に対するアレルギーというものをせっせせっせとこの国は作ってきました。自民党は作ってきました。
ですから皆、「計画経済」とか聞いただけで恐ろしいとまるで中世なら「ペスト」のように考えてしまう日本人が多いと思いますが、決して旧ソ連型の社会主義をその通り、再現するということではなくて今の時代のこの日本の社会に合わせた新しい形の社会的国家を作っていくことが絶対に必須だと思います。
アメリカでもご存知のように先の大統領選の予備選で旋風を巻き起こしたサンダースの主張などは一皮むけばほとんど共産主義です。そのサンダースの後継者のような人たちが地方選で保守系のベテラン議員を破って大勝利をおさめたということも報道されています。
大きな波は始まっているのです。
イギリスでも同様です。
アメリカ好きなアメリカ追従の日本ですからアメリカが社会主義的になったらほいほいと日本も社会主義的になるのは目に見えていますが、それは情けないことです。
この国で世界に先駆けた素晴らしい本当にすべての国民が安心して暮らせるような新しい社会主義ないし社会的な国家というものをこれからつくっていかなければならないのではないでしょうか。
そのためにはまず一人一人が上辺のプロパガンダやスローガンに惑わされずに身の回りにあることから考えてみることです。

本当に景気は良くなったの?良くなってないの?
暮らしやすいの?暮らしにくいの?
希望はあるの?希望はないの?
正義はあるの?正義はないの?
不正を許していいの?そのままなの?
まずあなた自身が問うてみることです。
あなたの未来の為に。そして子どもたちの未来の為にも。
              2018 年 12 月