ようこそ!虚構と絶望の蟻地獄へ。

2020年度の「安倍首相の施政方針演説」を新聞紙上で拝読した。

よくもこれだけ平気で虚構と虚飾と手前勝手な牽強付会に満ちた、添加物が山ほど入ったパフェのような「日本国物語」を堂々と開陳できるのか?

その才能(?)には、呆れ果てるまでだ。

 

1年前もそうだったが、今回更にそのイカれ方には磨きがかかって来たようだ。

「ウソ」と「キレイゴト」を並べたてるだけでなく、本人自身が本人も無自覚のうちに虚構と現実の区別がつかなくなった狂った思考の箱の中に入っている印象を受けた。これは、危険だ。

 

いつもながらに彼の「施政方針」の中には、政治の方針だけ示せば良いはずなのにそれには不用な必然性のない美談のような「物語」が存在する。これを読まされるのは、苦痛だ。

今回も冒頭から出た。

昔の東京オリンピック聖火ランナーの逸話。

それを受けて「半世紀ぶりにあの感動が再び我が国にやってきます。云々・・・国民一丸となって(嫌なものだ。「1つに丸めこまれる」というのは)新しい時代へと皆さん共に踏み出して行こうではありませんか」

?あたかも半世紀前のオリンピックも又、自分の業績であるような、そしてそれに重ねて今回もう一度、東京オリンピックがあるような構造のスピーチだ。意図的なズルさだ。

日本庭園によくある「借景」(背後に見える美しい自然の風景が映えるように意図的に庭を造って、その庭自体がより美しく見えるようにする造園法。京都なら岩倉の円通寺比叡山の借景が有名だ。)と同種の技法か?

錯覚してはいけない。彼がよく使う手だ。

 

そして何と言っても次の「新しい時代へ」の項目では・・・

『「日本はもう成長できない。」7年前、この「諦めの壁」に対して私たちはまず三本の矢を力強く放ちました。』

いつまで成長経済なんですか?マイナスイメージの象徴としての「壁」って言葉、今更ベルリンの壁壊しのつもり!?

『我が国はもはやかつての日本ではありません』

・・・仰る通りですね。もう立派な安倍党(自民党ではない。)独裁国家ですよね!・・・

『「諦めの壁」は完全に打ち破ることができた。』

・・・あーそーでっかー?(と松田優作風に言いたいわ!)・・・

『その自信と誇りと共に今、ここから日本の令和の新しい時代を・・・』

・・・この辺は、ちょっとニュールンベルク党大会のナチス総統閣下風のムードだぜ!・・・

ハイライトの「復興五輪」の項目では、やはり出た!

『福島・・・かつての原発事故・・・サッカーの聖地に生まれ変わり、(そして何と言ってもコレ!)「子どもたちの笑顔」であふれています。』

・・・歌舞伎の決め台詞か!・・・

 

役員買収して「買った」五輪。その挙句、今でも会長さん(竹田氏)は、国際的に刑事責任を追及されかねい状況となり雲隠れのまま。トップが逃げ隠れしたまま進める五輪って一体何?

3兆使って選手村のベッドは段ボール製。3兆どこ行った?

私たちは、今回の東京オリンピックには諸事情考え断固反対です。今でも。

中東情勢の影響。テロの懸念からアメリカの選手団は、護衛の陸軍特殊部隊付きで選手村入村とかなったりして?(当然武器も装備で)

そうなれば他の国も我も我も・・・各国の特殊部隊だらけの五輪選手村?

ここは内戦地帯か?などという想像までしてしまう・・・本当に。

心配で不透明なそして超絶な国民財政圧迫の代物・・・

今からでも止めてもらうに越したことはない。

 

そして何より違和感があったのは、例のパクチー栽培で移住したHさんの件だ。

いかにも自らの地方創生策の下での移住促進が功を奏したかのように美談としてまつり上げている。

「若者が将来に夢や希望をもって飛び込んでいくことができる。地方創生の新しい時代」をつくり上げていくと言うのだが、田舎移住というのは私の持論ではそもそも「今の社会のありよう」に疑問を感じるからこそ、その問題性が最も色濃く出ている都会(物価も高い。ストレスフルな不安定バイトなど・・・)を逃れて自由度の高い田舎で自分の世界をクリエイトしようという指向ではないのか?

「今の社会のありよう」を田舎のスミズミまでも(都会にあきたらず)浸透させようとするような国策的田舎移住には、私は正面から反対だ。(詳しくは私のyoutube動画「田舎移住の注意点」シリーズをご覧ください。)

国家のお膳立てが地方移住のキメテなどという誤った考えを流布しないでもらいたい。

 

果たして、かの総理の持ち上げていた「モデルケース」のパクチーH氏はさっさと今ではその田舎から逃げ出しておられるそうです。(ご本人は自分のエピソードを実名で演説に使用されることを許諾してはおられません。無断での実名使用でした。従って私は、迷惑の連鎖は行いたくないのでH氏と表しています。新聞紙上では、実名が出てしまっていますが。)

 

他にも「我が国には意欲と能力あふれる女性たちがたくさんいます。」という唐突な一節だが、一体何のつもりなのか全く意味不明だ。私個人としては、何故かこの一文にはとても不思議な一種、腹の底から笑ってしまいそうなアホさ、又、それでいて首を100回程ひねりたくなるような不可解さをミックスしたような複雑な違和感を覚えた。2日間程、色々と考えてやっとそれなりにたどり着いたのは、これはきっと「日本の女性たち」という極めて自分とは遠い、何か対象「物」として女性たちをとらえている主体からのメッセージではないのか、という推論である。

我が国には「意欲と能力あふれる政治家たち」がたくさんいてくれるといいのですがね。総理!

 

北朝鮮と「不幸な過去」を清算して、なんと「国交正常化」を目指すのだそうです。(昨年も同じことを言っていた。)仰天!

 

今までの歴代の首相は、各々にそれなりにカラーがあったと思う。

昭和の頃から当然、各人なりの比重・重点のかけ方というものが施政方針演説にも表れていた。成長経済重視型とか安定秩序指向型とか・・・

でも、この安倍総理のはいつも「何もかも目指します。出来るハズです。夢だらけです。」だ。

つまりは、何も本気でやる気はないということか。(既に判ってはいるが。)

 

でも一方、見方を変えれば今の我が国の現実と全く切り離して、単に国家指導者の方針演説として(つまり単に作文としてスピーチとして。)評価すれば、これはかなり高得点なイメージ系の秀作品だ。そこが大問題なのだ。

中身は、完膚なきまでに腐りきった悪臭を放ちはじめている腐肉の楼閣。

でもとにかくキレイゴトと夢が欲しい国民。現実を見たくない日本人。

そんなどうしようもない東洋の島国の住人たちにとって、安倍総理は理想のリーダーなのかも知れない。家族同士の深いキレツをかかえ、かつ先の見えない破産寸前の家計なのに派手なパーティーを開いてバカ騒ぎし、周りの人たちもそして誰よりも自分たち自身を誤魔化して、終末へ向かって行く破滅家族のご主人のようだ。

東京オリンピックとはそういうものだ。

ちょっと前のラグビーワールドカップの異様なまでの「国家的持ち上げ方」「ワンチーム」・・・その辺からパーティーはもう開いていたのだろうか・・・

 

最後に、もしその挙句一家で心中することになっても決してそんな無責任なご主人は一緒に心中などせず、一人で逃げて行くのだということも忘れてはなりません。きっとドバイ辺りにでも。